2011春ワークキャンプ報告
2011春 鶴居 ワークキャンプ 報告



<期間>
2月19日(土)〜2月24日(水) 5泊6日
<受け入れ先>
(財)日本野鳥の会鶴居・タンチョウサンクチュアリ
有田茂生チーフレンジャー
伊藤加奈レンジャー

*参加大学*
東京農業大学、法政大学、東北大学、北里大学、大阪動物海洋専門学校
(4大学1専門学校6名)

*作業内容*
・自然採食地の生き物調査
・自然採食地確認調査
・自然採食地の踏査
・自然採食地の整備

*その他の活動*
・しゃべり場
・自然保護セミナー
・野外セミナー
・懇親会

*活動報告*
<1日目>

午前:移動、買出し
午後:オリエンテーション
(タンチョウについて・鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの自然保護活動について・作業について)
夜:しゃべり場

<2日目>
午前:自然採食地の視察、自然採食地の生き物調査
午後:生き物の同定

<3日目>
朝:鳥インフルエンザの巡回
午前:自然採食地確認調査
午後:自然採食地確認調査
夜:自然保護セミナー

<4日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー

<5日目>
朝:鳥インフルエンザ巡回
午前:自然採食地の踏査
午後:自然採食地の整備
夜:懇親会

<6日目>
午前:大掃除、全体振り返り


【作業の報告】
+タンチョウの冬期自然採食地の生き物調査+
レンジャーが行ったタンチョウの確認調査で、利用頻度が高くタンチョウが餌場として利用していた水路があったので、今回この水路において生物の採取をして、同定をすることでタンチョウはどんな水生昆虫や小魚を食べているのか調査しました。
また、2010年夏のワークキャンプで管理した小池農場の水路においても生物調査を行いました。
生き物の採取方法としては、川に入り網で小魚や水生昆虫を捕まえ、持ち帰り図鑑などを利用して種類を調べました。
調査結果としては、ユスリカなどの水生昆虫やヤマメやトミヨなどの小魚が発見されました!タンチョウが利用している自然の餌場には、小魚が多くいることも分かりました。



網を使って生き物の採取します



宿泊所に戻り生き物の同定へ…

+タンチョウの冬期自然採食地確認調査+
2大給餌場(鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ・鶴見台)周辺やねぐら、牧草地が見わたせる山などの高い調査ポイントへ行き、給餌場以外にタンチョウが利用している場所を探し、その利用状況を望遠鏡や双眼鏡などで調べ、タンチョウの位置と行動を記録して、タンチョウが普段どのような場所でどのような行動をしているか調べました。



+タンチョウの冬期自然採食地踏査+
今までの調査により、牧草地やタンチョウ自採食地の管理候補地である手塚農場の水路へ行き、凍結の有無、水面の広さ、樹木の密度、タンチョウの利用の痕跡(足跡)などを記録して今後の管理のための調査をしました。



調査地へ!



途中途中、記録をとります。

+タンチョウ冬季自然採食地の整備+
2010年夏ワークキャンプで枝の伐採など整備をした水路にではタンチョウの利用が確認されました。
しかし、夏の整備作業から時間が経ち枝が折れるなど狭くなった場所や、さらに整備することでタンチョウの利用が期待できそうな場所があるので、水路の周辺に生えている木の枝をのこぎりを使い除去して、タンチョウがより利用やすい自然採食地を作りました。





【その他の活動】
<1日目>
○鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの自然保護活動・作業についてのレクチャー
受け入れ先の鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリではどのような自然保護活動が行われているのか、これから行う作業はどのような目的があるのかなどレクチャーしていただきました。
○しゃべり場
初日の夜にみんなで、好きな動物・大学で何を学んでいるのか・なんでワークキャンプに参加したのかなど、お互いはなして打ち解けあいました。

<3日目>
○自然保護セミナー
自然保護にはどのような活動があるのか、どのように分けられるのか自然保護の全体像をみました。

<4日目>
○野外セミナー
受入先のレンジャーの方々からタンチョウとそれを取り巻く環境や問題点について、実際の現場(鶴居村内と釧路湿原)に車で向かい、教えて戴きました。
釧路湿原でタンチョウの生息地の環境について学び、酪農家に行き、人とタンチョウの問題について学びました。また国立公園となっていない釧路湿原へ行き、開発の問題について学びました。
道中には、オジロワシ、オオワシ、オオマシコ、アカゲラなどの野鳥も見ることができました。



いざ!釧路湿原へ

<5日目>
○懇親会
最終日の夜は、村の方々との交流会を行いました。被害を受けている酪農家の方、タンチョウを撮り続けている写真家、酪農専門の獣医をしている方達と交流しました。
普段は会えない方々と話、タンチョウの保護や問題について理解を深めました。

■参加者の感想■

東北大学法学部1年 藤崎涼子

このワークキャンプで一番に感じたのは、タンチョウが普通に見られる!という驚きでした。人工給餌に頼らざるを得ない、従って人が餌を撒いたところにタンチョウが来る、という単純な話だということを知ったけれど、今の状態の不自然さを目の当たりにした気がして、自然採食地の整備という作業の重要性を感じました。
また、慣れない望遠鏡やノコギリを使っての作業は自分にとって貴重な経験でした。
今回経験し、見聞きしたことはレンジャーの方々の仕事のごく一部だとは思いますが、自然保護の難しさを知ることができた6日間でした。
本当のやりがいを感じられるのは作業の結果が表れてからかな?という気がするので、是非「続き」を確かめに、またタンチョウの保護活動に関わりたいです。


法政大学人間環境学部2年 武田翔


私は大学の講義でこの鶴居ワークキャンプを知り、自身の進路選択のきっかけになるのではないかと考え、北海道には1度も訪れたことがないこともあったので、思い切って鶴居ワークキャンプに応募させて頂きました。
タンチョウの保護活動をレンジャーの方々と共に実際に行うことで、自然保護の意義や難しさを学び、自然保護について改めて考えさせられました。また、タンチョウ・オオワシ・オジロワシなど、関東ではまず見かけることのない珍しい動物との出会いはとても感動的で忘れられない体験になりました。
他にも、ワークキャンプ参加者との共同生活を通じ、お互いに考え方の異なる意見を交換することで自然保護に対する様々な見方を学ぶことも出来たと思います。
そして、鶴居から帰ってきた後、今まで特に興味のなかった鳥類やバードウォッチングに興味を持つようになり、街中で見慣れない鳥を見かけると「あの鳥はなんていう鳥だろう」と気になるようになりました。
鶴居ワークキャンプでは、普通に観光するだけでは体験することの出来ない貴重な体験をすることが出来たと思います。今度も是非夏のワークキャンプに参加したいです。

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