2011夏ワークキャンプ報告
2011夏 キナシベツ ワークキャンプ 報告



【期間】
8月22日(月)〜31日(水) 9泊10日
【場所】
北海道釧路市音別町 キナシベツ自然保護地区
【受け入れ先】
 「キナシベツ湿原を愛する会」
  榊原源士さん(代表)
  森田健吾さん
【参加大学】
 日本大学、帝京科学大学、東京農業大学、京都精華大学、恵泉女学園大学(5大学5名)

【作業内容】
 看板立て
 巣箱かけ
 バラ線修復
 遡上調査
 観察路の目印たて
 観察路中の橋づくり
 展望台修復
 海岸の土留めづくり
 ゴミ拾い

【その他の活動】
 キナシベツの自然保護史
 コミュニケーションセミナー
 事前学習発表会
 野外セミナー
 植生セミナー
 自然保護セミナー
 シマフクロウレクチャー
 竹中さん、スコットさん、ギュンターさんによるレクチャー
 ナイトハイク
 懇親会

【10日間の活動内容】
<1日目>
午前:移動、集合、買い出し
午後:オリエンテーション
 夜:コミュニケーションセミナー、事前学習発表会

<2日目>
午前:看板たて
午後:竹中さんシマフクロウレクチャー
夜:キナシベツの自然保護史

<3日目>
午前:巣箱設置
午後:橋かけ、目印たて
 夜:フリータイム

<4日目>
午前:展望台
午後:音別町見学
 夜:フリータイム

<5日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー
 夜:自然保護セミナー

<6日目>
午前:バラ線修復
午後:土留め作り、ゴミ拾い
 夜:懇親会

<7日目>
午前:展望台
午後:遡上調査
 夜:植生セミナー

<8日目>
午前:展望台
午後:展望台
 夜:フリータイム

<9日目>
午前:観察路散策
午後:スコットさん、ギュンターさん、竹中さんレクチャー
 夜:フリータイム

<10日目>
午前:大掃除、全体振り返り、閉会式

【作業の成果】
■看板設置
 2011春ワークキャンプで作成した看板を、榊原牧場の観察路の入口に設置しました。


トレーラーで看板を持ち上げ、設置しました。

■橋づくり
 土がえぐれ通れなくなってしまった箇所に、長さおよそ4Mの丸太を2本かけ、土嚢袋を6袋ほど橋の下に敷いて安定化をはかり、丸太の両脇に計4本の木の杭を打ち、固定しました。


観察路が通れるようになりました。

■目印たて
 観察路を実際に歩き、水鳥の観察ポイントや、曲がり角などのポイントに、手竹を合計約30本たて目印としました。


目印をたて、観察路を歩きやすくしました。

■巣箱かけ
 2011春ワークキャンプで作成した、小鳥の巣箱3つと、エゾフクロウの巣箱2つの設置を行いました。


小鳥の巣箱


フクロウの巣箱

■バラ線修復
 キナシベツ海岸沿いの、バラ線がはずれてしまった箇所や、錆びて折れてしまった鉄の杭などを新しいものに交換し、バラ線の修復を行いました。


バラ線を張ることで、貴重な海岸植生が踏み荒らされないようにします。

■遡上調査
 チョクベツ川の河口付近から1.5km上流まで、50m〜100mおきに魚類の種類、数、体長を記録しました。今回の調査では、例年よりもイワナが多く、また、昨年に引き続き産卵魚が確認できませんでした。

■展望台修復
 展望台の2階と3階につける手すり用の垂木をかんなで磨き、のこぎりで長さを調節しました。また、2階にあがる階段の5段分を、のこぎりとのみを使って作成しました。2階にあがる階段は、夏季に草を刈るために、蝶つがいをもちいて可動式になります。


階段をつくりました。

夏季に芝を刈れるように、可動式になっています。

展望台からは海が見えます!高いですよ〜。

■土留めづくり
 キナシベツ海岸の砂浜の崩落部に、流木で作成した柵に沿って20袋ほど土嚢を積み、スコップで砂を上からかぶせて固定しました。



■キナシベツ海岸のゴミ拾い
 キナシベツ海岸から国道への道沿いのゴミ拾いを行ないました。ゴミはペットボトル、昼食のゴミ、スチロール片、ビン、釣り糸などがありましたが、数はとても少なかったです。震災によって流されたと思われるゴミは対象外としました。



【その他の活動】
〇キナシベツの自然保護史
受け入れ先の榊原さんに、キナシベツの自然保護の経緯をお話していただきました。

〇シマフクロウレクチャー
シマフクロウの研究をしている竹中さんに、シマフクロウの生態や、保護についてのお話をしていただきました。

〇野外セミナー
キナシベツを、一日かけて榊原さん、森田さんに案内していただきました。また、環境省の竹中さんもご同行していただきました。
二次林から始まり、海岸段丘草原、海岸草原、キナシベツ海岸沿いを歩き、キナシベツ川を渡って丘を登り、原生林に入り、最後に牧場を出るルートでした。


ミズナラの二次林からスタートです。
二次林のなかには戦争遺産も残っていました。


海岸草原には、ハマナスの実がたくさんなっていました。


原生林には、立派なカツラの木や、ハルニレの木があります。
クマ鈴を鳴らしながら歩くのは、何だかドキドキしました。

〇懇親会
約10名の地元の方が来てくださり、ジンギスカンを食べながら、和気あいあいとたくさんのお話することができました。

〇竹中さん、スコットさん、ギュンターさんによるレクチャー
9日目に、ドイツ人のスコットさん、アメリカ人のギュンターさん、シマフクロウ研究家の竹中さん、タンチョウ保護研究会の方々にお越しいただきました。竹中さんには「フクロウとヒグマとアイヌの世界」、ギュンターさんに「湿地回復と自然保護」、スコットさんに「アルド・レオポルド」についてそれぞれレクチャーしていただきました。
レクチャーは大変興味深く、様々な視点から自然保護を考えることができました。
 外国からのお客さまに緊張気味でしたが、一緒にお菓子を食べたり、質問をしたりと、貴重な時間を過ごすことができました。また、英語力のなさを痛感した学生たちでした・・・。


ギュンターさんによるレクチャーの様子

■参加者の感想■

京都精華大学3回生 木田小百合

 今回、私がワークキャンプに参加しようと思ったのは、「自然保護について知りたい!」というよりは、「何か面白いことしたいなあ」という、正直に言うと軽い動機でした。元々自然や野鳥は好きだったのですが、今までまともに自然保護活動に取り組んだ事もなく、知識もほとんどなかったので、私みたいな人間が本当に参加してよいのかなという気持ちも多少ありました。しかし、それは決して悪いことではなく、何も知らないことを知ったからこそもっと勉強をしようという意欲も生まれましたし、今まで以上に自然保護について関心を持つようになれたと思います。
そして何より、ワークキャンプでは私の「何か面白いことがしたい」というぼんやりとした願望も見事に叶えてくれました。感想は?ときかれたら第一に「楽しかった!」と言いたいくらい、本当に楽しかったです。もちろん力仕事も多く、決して楽だというわけではありませんでしたが、普段の生活では出来ないであろう貴重な体験がぎっしり組み込まれていて、疲れている暇などありませんでした。ギブアンドテイクがこのキャンプの軸だということは聞いていましたが、振り返ってみれば自分が提供した労働力の倍以上のものをいただいてしまった気がします。
 最後に、キナシベツは本当に素敵な所でした。あの空の広さ、原生林の迫力、楽しかった思い出をいつまでも忘れたくないと思います。

恵泉女学園大学2年 源関朋

  キナシベツワークキャンプの9泊10日は始め、期間が長いかと思っていましたが、あっという間に時が過ぎてしまいました。
 キナシベツでは、展望台を作ったり、原生林を歩いたり、自然保護に関わる人達の話を聞けたりと、様々な体験ができました。知らないことばかりで、一度に視野がとても広くなったように感じました。
 原生林の中に、戦争遺産が残っていました。それを間近に見ることもできました。思いもよらない場所にそうしたものが残っていることに驚きました。
まだまだ自然保護や自然に対する知識は足りません。これからももっと勉強していきたいと思いました。




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