2010夏ワークキャンプ報告
2010夏 根室ワークキャンプ 報告



【期間】
 8月30日(月)〜9月5日(日) 6泊7日
【場所】
 渡邊野鳥保護区フレシマ、渡邊野鳥保護区ソウサンベツ、
 三菱UFJ信託銀行野鳥保護区酪陽
【受け入れ先】
 ○日本野鳥の会 野鳥保護区事業所
  ・松本 潤慶さん
  ・小畑 拓也さん
 ○春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
  ・大熊 千晶さん
  ・手嶋 洋子さん
【参加大学】
 東邦大学、法政大学、千葉大学、東京農業大学、帝京科学大学、東京農工大学(6大学8名)
【作業内容】
 ・植樹用苗畑作り
 ・川の修復作業
 ・カエル池作り
 ・崩落地の植生回復作業
 ・薪割り
【その他活動】
 ○根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
 ○山本純朗さんによるシマフクロウセミナー
 ○野外セミナー
 ○懇親会
 ○自然保護セミナー


【8日間の活動内容 】
<1日目>
午前:移動、集合
午後:買い出し
 夜:根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
   自己紹介ゲーム

<2日目>
午前:植樹用苗畑作り(渡邊野鳥保護区酪陽)
午後:植樹用苗畑作り
 夜:山本純朗さんによるシマフクロウセミナー

<3日目>
午前:薪割り
午後:植樹用苗畑作り
   カエル池作り(渡邊野鳥保護区フレシマ)
 夜:フリータイム

<4日目>
午前:崩落地修復作業(渡邊野鳥保護区フレシマ)
午後:崩落地修復作業(渡邊野鳥保護区フレシマ)
 夜:フリータイム

<5日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー
 夜:懇親会

<6日目>
午前:川の修復作業(渡邊野鳥保護区ソウサンベツ)
午後:事業所メンテナンス
 夜:自然保護セミナー

<7日目>
午前:大掃除、根室ワークキャンプ振り返り
   解散


【作業の成果】

@植樹用苗畑作り
<目的>
現在、野鳥保護区酪陽の近くの日本野鳥の会が買い取った土地は牧草地になっている。
土地の土は肥えていて、植樹用のドングリの苗を育てるのに適しているので、開墾して苗畑にしたいがRだけでは手が足りていない。
そのため今回のFANのWCでは、指定の範囲を草刈し、くわやスコップを使って耕し、畝(苗を植えるために土を細長く盛り上げた所)をつくり、苗畑をつくることを目標とする。

<成果>
1日半をかけて、立派な苗畑が完成しました。ここで、10月に幼稚園児が苗植えを行います。





「表土が固いのでスコップとくわで掘り起こします。」



「表土はこんなに大きく、重いです!」



「表土を取った後には、ササの根をきれいに取り除きます。ササの根はとても長いです。」



「畝を作って完成!!」


Aカエル池作り
<目的>
現在、渡邉野鳥保護区フレシマでは、シマフクロウのすめる森づくりの一環として、シマフクロウの餌場をつくってシマフクロウを誘致しようという取り組みを始めようとしている。
今回のFANのWCでは、魚などもいない早春に餌となるエゾアカガエルが集まって繁殖できる池を、川に石を入れダムのように水をため作るを目標とする。

<成果>
一から池を掘るよりも、簡単な方法で止水域をつくることができました。
次の春にエゾアカガエルが繁殖してくれるか楽しみです。



「作業前の状態です。」



「近くから大きな石をたくさん運んできます!」



「石を川に投げ入れダムをつくります。」



「作業後の状態です。手前に池ができました。」



「近くでエゾアカガエル発見!!」


B川の修復作業
<目的>
現在フレシマの川では、土砂が堆積することで止水し、増水しているため近くの管理用道路が洗われて崩れてしまっているが、レンジャーだけでは手が足りず作業ができていない。
そこで今回のFANのWCでは、くわやスコップを使い50mの長さの川を掘り、隣に流れている川につなぎ水の流れを元に戻すことで、管理用道路の破損を防ぐことを目標とする。

<成果>
全員ドロドロになりながら、土砂の堆積を取り除き川の流れをつくることができました。



「作業前の状態です。」



「スコップでせき止められている部分を掘り進めます。」



「作業後の状態です。奥まで川の流れが続きました。」


C崩落地の植生回復作業
<目的>
渡邉野鳥保護区フレシマは植生維持管理のために放牧している馬が同じ道を歩くため、坂の部分が崩れ表土が流出し、植生や近くの湿原に影響を与えてしまっている。
しかし、レンジャーだけでは手が足りておらず作業が進んでいない。
そこで今回のFANのWCにおいてソウサンベツから砂を取ってきた土嚢袋、切り出した表土、ヤナギのポッドをアーチ状に崩落地一帯に敷き詰め、土砂の流出を抑制し、植生、湿原の影響を減らすことを目標とする。



「植生管理のために放牧している馬」

<成果>
1日かかって、予定していた範囲の崩落地を修復することができました。
今後、植えた草の周りから徐々に草が生えてくることでしょう。



「作業前の状態です。手前の草が生えていない部分で作業をします。」



「馬が入ってこないように、バラ線の柵があります。」



「土嚢に砂を詰めます。これが重い!!」



「土嚢の上に表土と柳のポッドを植えていきます。」



「完成!これで雨が降っても土が流れません。」


D薪割り
<目的>
野鳥保護区事業所では、シマフクロウの森を育てようプロジェクトの一環として、より早く太い木を育てるために除間伐を行っている。
日本野鳥の会では化石燃料の使用を抑えるために除間伐材を鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの薪ストーブの薪として使用しているが、レンジャーだけでは手が足りておらず薪になっていない除間伐材が多くある。
そこで今回のFANのWCでは、手斧、かなづちを使用して薪割りを行うことをする。

<成果>
事業所の前に積み上げられていた薪を割りました。
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリにある薪ストーブの約3カ月分の薪を割ることができました。


【その他の活動】
<1日目>
○根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
→これから作業する根室にはどういう自然があるのか、受け入れ先の野鳥保護区事業所ではどのような活動が行われているか等を松本レンジャーから説明していただきました。

<2日目>
○山本純朗さんによるシマフクロウセミナー
→シマフクロウの研究の第一人者である山本さんから、シマフクロウの調査の様子、知られざる生態等についてセミナーをしていただきました。



「長年シマフクロウを研究している方ならではの貴重な話を聞くことができました。」

<5日目>
○野外セミナー
→作業では見れなかった根室の自然、開発問題など実際現地をみながら1日かけて松本レンジャーに案内していただきました。





「海、湿原、草原、森林の様々な自然が詰まった春国岱に一同感動!」





「開発問題についても勉強しました。」

○懇親会
→受け入れ先のレンジャーの方が来てくださり、学生に貴重な話をたくさんしていただきました。
 自然保護の現場の方の話は、新鮮で学生にとってとても刺激になりました。

<6日目>
○自然保護セミナー
→自然保護の全体像をみるセミナーを行いました。
 自然保護はどのようにわけられるのか、自然保護には何が必要なのかを話し合いました。

<7日目>
○ワークキャンプ全体振り返り
→7日間のワークキャンプを過ごして、得たことや感じたことを作文にして発表しました。
 ワークキャンプを通して自分の考えを見直したり、新たな考えを得た人など皆それぞれ想いを語りあいました。


【参加者の感想】

千葉大学2年 兵頭夏海

 WCで行うことは今回やった崩落地の作業に少し似ている気がします。
更地の上に興味・関心という土嚢があって、その上に経験という名の表土であり、苗を置く。置いただけの苗と同じで、その経験はまだ行った時点では単なる断片でしかない。
だけど、時間をかけて流れてきた土が置いただけの苗やらを根付かせるように、帰ってきてからの日々が土の役割をし、ゆっくりと、心に根をはらせて定着していって。
そこからまた、新しい興味などの何かが芽吹いてくるんです。
その時もおもしろいですけど、帰ってきてからもゆるゆるといろいろ感じるところがあって繋がっていくから、ワークキャンプっていいなって思っちゃうんでしょうね。たぶん。

東邦大学4年 渡邊那


 ワークキャンプの重さを実感したのは東京に戻って一人になってからだった。毎日規則正しい生活をして、みんなで汗を流して、新しい経験ばかりだった日々が恋しくなった。大自然の中、生きているレンジャーは輝いていて、これが自分のやりたいことだとはっきり言っていてかっこよかった。そんなレンジャーのすごさを思い返すと、頑張ろうと思える。
 ワークキャンプの日々とは違い、今は自分の目の前の生活に向き合わなければいけないけれど、それは「現実に戻った」わけではない。ワークキャンプの日々が「夢の中」だったわけでもなくて、現実の一部だったんだと思う。今もレンジャーは日々忙しく動いているだろうから、自分も動こう、と勇気をもらえる。そんな風に時々、ワークキャンプの日々や根室のことを思い返すだけでつながりが持てる。
そのつながりを大切にしながら過ごしていきたい。

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