2006年春のワークキャンプ

キナシベツ自然保護地区

チーフコーディネーター 高木俊大(日本大学3年)

【開催地】(社)日本ナショナルトラスト協会 キナシベツ自然保護地区(北海道釧路市)

【開催期間】2006年2月16日(木)〜2月26日(日) 10泊11日

【スケジュール】

2/16(木)
現地到着
開会式・オリエンテーション
キナシベツ自然保護史
アイスブレイク

2/17(金)
看板作成
セミナー「ボランティアセミナー」

2/18(土)
アオサギコロニー調査
アオサギレクチャー
セミナー「合意形成セミナー」

2/19(日)
オオワシ・オジロワシ生息調査
タンチョウ越冬地見学
餅つき

2/20(月)
野外セミナー
野外セミナー振り返り

2/21(火)
看板作成

2/22(水)
キナシベツ自然史調査

2/23(木)
看板作成

2/24(金)
看板作成
懇親会

2/25(土)
看板作成
大掃除
ワークキャンプ全体の振り返り
打ち上げ

2/26(日)
大掃除
閉会式
現地解散


【活動内容/成果】
●看板作成
今回のキナシベツワークキャンプのメインとなる作業で、今後作成予定の木道脇に設置する看板を、花の解説看板6枚と木の解説看板2枚、キナシベツを紹介する看板1枚の計9枚の看板を1人1枚ずつ担当し作成しました。設置予定地を見学した後、看板の下地を作り、どの様な看板にしていくかのアイデア出しをしていきました。途中、体調不良者が出たり話し合いがうまくまとまらなかったりしましたが、参加者が毎日頑張った結果、最終日には全ての看板を無事に完成させることが出来ました。

●アオサギコロニー調査
キナシベツの自然環境の変化を示す1つの指標として、アオサギの巣の位置や大きさ、高さや数などを調査していきました。当日は晴天に恵まれた上、今年は雪が少なかったため、例年に比べ歩きやすい中での調査となりました。今回は合計91個の巣を確認でき、順調に数が増えてきているのではないかと思われます。また、調査後には今回調査を手伝って下さった松長さんにアオサギについてのレクチャーをしていただき、より一層中身の濃い経験を得ることができました。

●オオワシ・オジロワシ生息調査
 近年、個体数が減ってきているワシ類の個体数を確認するため、数をカウントする調査を行いました。キナシベツ各地を回り、ワシ類をなかなか見つけられないまま終わるのか…と思った矢先、オオワシ・オジロワシが集まっているの場所を発見!ワシの迫力ある姿にみんな大興奮の様子でした!

●キナシベツ自然史調査
 キナシベツ自然保護地区への人間の影響具合をみる調査で、毎年ワークキャンプで一部区域ずつ調査し、地図(環境実態図)に表しています。今回はあいにくの雨模様で寒い中での調査となりましたが、海沿いの丘を隣町までひたすら歩き、今までの地図に示されていなかった地形を地図に表すことが出来ました。

●野外セミナー
 キナシベツ自然保護地区をクロスカントリーで1日かけて回りました。今期は例年より寒い日が続いたため川が完全に凍結し、湿原を川の上を通って横断することが出来ました。初めてスキー板を履いた参加者もおり、最初は転ぶ回数が多く見られましたが(叫び声も聞こえました)最後には滑るのにも慣れ、キナシベツの自然を五感一杯に満喫することができました。

●その他の活動
◇餅つき
 釧路湿原ボランティアの方々がお手伝いをして下さり、参加者にとって初めての雪上餅つきを体験しました。最初は現地の方々のパワーに圧倒されていましたが、参加者も徐々に杵の重さにフラつく人、ビックリするくらい上手な人と、それぞれが個性溢れる餅つきを楽しんでいました。

◇セミナー
 学生同士で様々なテーマについて話し合うセミナーを行いました。ボランティアセミナーでは「ボランティアとは何?」を話し合い、合意形成セミナーでは1つの事柄をグループで話し合い、話し合いをまとめていくことの難しさ、大切さを感じることが出来ました。セミナー中、普段はみんなで笑い合っている参加者1人1人が真剣に物事を考えている姿が印象的でした。

◇懇親会
キナシベツの近くで仕事をされている方々が集まって下さり、仕事のお話しや自然保護関係のお話しなどを思い思いの時間を過ごしました。学生にとって自分たちが活動をする地域の方々と交流を持つ良い機会となりました。


【参加者の声】
●「自然はすごかった☆」大澤悠野(東京家政大学家政学部環境情報学科1年)

私は、緑が周りにあると心が和らぐ。そんな大切な自然を実際に守るボランティアがしてみたくて、このWCに参加した。また、キナシベツにある海、湿原、原生林の大自然を味わってみたかった。

 参加して、自然が持つ温かさと厳しさを身を持って知ることが出来た。キナシベツの澄んだ青空、満天の星空、小鳥、ワシ等の動物や、ヤチボウズ、ヤチハンノキ等の植物一つ一つが不思議な温かいものを持っているように感じた。それらのものと接していると、クタクタだったのにいつの間にか元気になっていた。そしてクロスカントリー等で、雪の中を自分の体一つで前に進んでいく時、自然の厳しさをひしひしと実感した。

しかし、クロスカントリーで必死に進んだ原生林も、少し行けば広い道路があった。本当に自然だけの所は少しなのだなと思う。そして、積極的に守っていこうとしなければ自然は自然のままではいられないのだと感じた。ずっとずっと変わらない自然を守っていく大変さを、実際に行ってみたことで頭だけじゃなくて体でも痛感出来た。

 セミナーでは、皆色んな考えを持っていて、一つのことを決めていくことは難しかったけれど、すごく面白かった。共同生活は、日が経つに連れてドンドン皆が個性を発揮してきて、賑やかで楽しかった。

 最初のうちは北海道の寒さに耐えられるか、11日間も共同生活が出来るか、不安でいっぱいだった。しかし今では、キナシベツの寒さや皆でワイワイして笑いあった事がとても恋しい。キナシベツで出会ったあったかい人々や自然を決して忘れない。本当にありがとうー!!

●「多くの出会い」前田知美(日本大学生物資源科学部植物資源学科2年)

このワークキャンプには、鳥の調査と湿原の保護活動に興味があったため参加しました。また、キナシベツという場所は原生林・二次林・湿原等様々な環境に囲まれている貴重な場所で、一度行ってみたい!と以前から思っていたので、今回行くことができて本当に嬉しかったです。

ワークキャンプでは、セミナー・看板づくり・調査を通し、キナシベツの大切さだけでなく自然保護について改めて深く考えることができました。自然保護に一番大切だと感じたこと、それは人とのつながり。キナシベツは熱い想いを持った多くの地元の人に支えられて成り立っている事をゲンさんや地元の方と出会い、感じました。

また、今まで大人数で数日間ボランティア活動をしたことがなかったので、とても新鮮でした。共に感動し、喜び合ったり、同じ世代の異なる考えと聞き合ったりできたことにより、自分自身の考えが深まり成長することができたと思います。
これからもキナシベツで学んだことを活かし、人とのつながりを大切にしながら活動していきたいと思っています。

アオサギの巣がカラマツの天辺にポツポツと。 深い雪に阻まれながらの調査です。
広くて青い空の中!果たしてワシは姿を現すのか!? 雪上餅つき♪地域の方々がお手伝いしてくれました。
雪の上…?いえいえ、川の上なんです!凍り付いているのでへっちゃらです! 野外セミナーお馴染みの“ヘシヘハケ岬”みんなテンションあげあげです♪
こちらは看板作成中。 一枚一枚手書きで仕上げ…
 
素敵な看板完成!やったね☆