2002年夏のワークキャンプ

ウトナイ湖サンクチュアリ

チーフコーディネーター 風間智子(東邦大学3年)


<開催地>
(財)日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ ネイチャーセンター(北海道苫小牧市)

<開催期間>2002年8月2日(金)〜12日(月)
<活動内容>
〈植生調査〉

1962年から10年毎に行われている、ウトナイ湖北岸の植生調査のお手伝いをしました。具体的には、ウトナイ湖の水位変化と湖岸線一帯の植生の遷移を調べました。今後のウトナイ湖の保全に役立てていくための基礎的な資料となる重要な調査でした。
 参加者はまず、植物の名前を覚えるところから始めました。花が咲いている植物の名前はすぐに覚えましたが、花のない植物は葉で識別するので皆苦労していました。日を重ねるごとに皆のチームワークが良くなっていき、7日間かけて行う予定でいたところ、なんと5日ですべて終えてしまいました。
〈野外セミナー)

ウトナイ湖がある勇払原野を1日かけて見て回り、湿原などの自然とその周囲で起こっている環境問題についてレンジャーさんに案内していただきました。
 野外セミナーの前日に野外セミナー事前勉強会をして、開発と自然保護の問題についてレンジャーさんからお聞きしたことと実際に見ていることを考えながら1日を過ごしました。
〈博物館と湿原めぐり〉
 たまたま植生調査が早く終わり、余った2日間は何をしたかというと、半日はネイチャーセンター内の片づけをし、その日の午後は苫小牧市立博物館とアイヌ民族博物館に行きました。
 残りの1日は、植生調査でお世話になった札幌市立高専の矢部先生が湿原を案内してくださることになりました。この日は純粋に景色や花や生き物を堪能し、北海道の自然を大いに楽しみました。

<大まかなスケジュール>
8月2日(金) 18:30大洗発 フェリー内でアイスブレイク(担当:本川)

8月3日(土) フェリー内で献立表作成
        13:30苫小牧港着
        WC全体のオリエンテーション
        夜)ボランティアセミナー(本川)

8月4日(日) 植生調査(作業レクチャー)
        生活面・作業面での振り返り(以降毎日やる)
        夜)懇親会(レンジャーさんと参加者のアイスブレイク)
8月5日(月) 植生調査
        夜)合意形成セミナー(原)

8月6日(火) 植生調査
        夜)野外セミナー事前勉強会(風間)

8月7日(水) 野外セミナー(風間)
        夜)野外セミナー振り返り(風間)

8月8日(木) 植生調査
        夜)フリータイム
8月9日(金) 植生調査
        夜)未定(とりあえず、あけておく)

8月10日(土)植生調査のデータ入力,ネイチャーセンター片づけ,博物館めぐり
        夜)自然保護セミナー(新井)

8月11日(日)湿原めぐり
        WC全体の振り返り(風間)
        夜)打ち上げ〜♪

8月12日(月)大掃除,解散

<参加者の声>
●松久さとみ(まつひささとみ・高崎経済大学2年)
『大自然の中で』「理想→現実への第一歩」「将来への見通し」「チームワーク」
ワークキャンプに参加すれば、この3つが身につくと、今回参加してみて感じました。素晴らしい仕事をこなしているのに、ちっとも奢り高ぶったところがなく、どんな質問にも気さくに答えて下さった職員や、レンジャーさん達に支えられながら、全国各地から集まった、熱意あふれる学生の方々と共同生活を十日間も体験したあとには、必ず抱えきれない程の収穫が得られることでしょう。何度か行われる、参加メンバー全員が集って行う夜のセミナーでは、毎回テーマが与えられて意見交換をしましたが、これが良い緊張感を生み、とにかく凄い!一回終えるごとに考えが生まれ変わったような感覚に陥り、「学んだー!!」という満足感に包まれます。そして、献立も考えて全て自炊というのと、希望者は毎晩飲み会に参加し将来の相談をしあったり、恋愛感が語れるというのも楽しみの一つです。普段は顔を合わせることもないので、腹を割って心から会話が楽しめます。とにかく、少しでも参加したいなと考えて居る方は、一度FAに連絡してみては?予想だにしない収穫が沢山得られ、絶対に後悔しません!
●谷口(たにぐち・東京大学4年)
 ボランティアとはなんぞや?それは関西弁講座である。そうや、たしかに関西出身の人もぼちぼちおってな、ほんま関西弁の影響は大きいでー。って違うよ!ボランティアはさ、けっこうストイックで奉仕的な活動ってイメージあるでしょ?私も最初はそう思ってたんだけど、FAのキャンプ参加してからは考え方ががらっと変わったのね。あれはね、自分のやりたいことを自分のできる範囲でやる、もっと自発的で楽しいものなんだと思う。だからボランティアっていうのさ。
 じっさい、FAのキャンプでは自分の目的意識である自然保護の活動に関わることができ、それを通して自然保護に関する様々な知識を身につけることができたよ。とくに私の参加したウトナイ湖の植生調査は、世界でもあまり例のない学問的にも非常に価値のあるもので、必然的にモチベーションも上がったよ。さらに、1週間以上も北海道の大自然にどっぷりとつかることができたし、なによりも共同生活を通じてみんなとかけがえのない友情を育むことができた。よかったね。ちゃんちゃん。
 って終わっちゃいかんのよー。ボランティアは遊びじゃないんだから。それには責任が伴うのです。植生調査をスケジュール通り正確かつ確実に終わらせることはもちろんのこと、10日間の滞在において、自分達を律し、地元のレンジャーさんたちに極力迷惑をかけないようにしなければならないんすよ。シロウトの私達が手伝いに行くことは向こうには大きな負担になるのです。だから私達は与えた負担以上のものを返して来なければならない。
 私はこのキャンプで多くのことを学び、多くのものを得た。自然保護について考え行動すること、様々な人と交流・共同生活をすること、それらはつまり社会に主体的に関わって行く行為だと思う。それらを通して、自分というものを知り、成長することができる。楽しみと責任、そのどちらか一方だけに引っ張られることなく、うまく釣り合っているFAのワークキャンプに参加できたことは、幸運でありとても満足している。ありがとう、FA&北海道でお世話になった方々。

<はみだし>
その1・私たちがウトナイに行った8月上旬はあまり天気がよくなかったのですが、あるとき空がきれいに晴れてとても気持ちよかったのです。休憩時間にねっころがった私たちはついそのままウトウト…。
その2・調査した植物の中で一番やっかいだったのがエゾノコリンゴという木。細くて短い枝が棘のように刺さるんです。みんなで悪戦苦闘しました。